●● レビュー
We gotta have THEM
ノラ(トレイシー・カミラ・ジョンズ)は独身で、繊細で独占欲の強いジェイミー(トミー・ヒックス)と自惚れなモデルのグリア(ジョン・テレル)と軟派でひょうきんなマーズ(スパイク・リー)という性格がまったく違う3人と付き合っていて、自由奔放に生きていたのだった...
スパイク・リーのメインテーマが差別との戦いだとするならば、サブテーマは女性のセックスだといつも思う。これにも後に女性のセックスについての映画が作られた事で十分に分かる。そのスパイク・リーが女性のセックスについて描いた初の作品。マジック・ジョンソンの口からエイズという病気を語られる前の映画だという事も念頭に置かなければならない。
スパイクが作る女性のセックスについての映画でいつも感じるのだけど、やはり男性の目から作ったと感じてしまう。私から見たら3人の男と遊んでいるのにノラの行動はちょっと間抜けだ。そこに男性からみた女性に望む姿が見えてしまう。しかしその3人の男性が様々である事によって、ノラの魅力も様々である事が分かる。頭の良さと芸術センスをもったジェイミーはノラのそれを、見た目重視であるけれど美に関しては敏感であるグリアはノラのそれを、そしてユーモアに溢れているマーズはノラの笑顔の魅力を引き出している。
ハリウッドが黒人女性をセックスオブジェクトとして扱っていた歴史がある。いつもハリウッドでセクシーさを売りにしていたのは、色の薄いライトスキンと呼ばれる女性達だった。しかしレイプされる役を演じるのは、濃い肌の女性が多かった。色の割と濃いノラが性を開放し、さらにそれを芸術的に美しく見せた撮影技師のアーネスト・ディッカーソンの才能とで、ハリウッドの歴史に真っ向と戦ったのだ。そしてデビット・リー(スパイクの兄弟)が撮ったモノクロ写真も作品を芸術的にしていて効果的だ。
スパイクは製作中に書いていた日記の中でこう語っている。「主演のトレイシーは絶対に黒人版のマドンナになると思うよ」しかし、トレイシーはその後にマドンナのように爆発的な人気となる事はなかったけれど、カルト人気となったこの作品の中で80年代の黒人版マドンナとしてその役目を多いに果たしている。スパイク・リーにアーネスト・ディッカーソン、デビット・リーにトレイシー・カミラ・ジョーンズ、我々が欲しがるものがここにはある。
(Reviewed >> Unknown, 2/7/08:DVDにて鑑賞)