●● レビュー
He can't have a grip on every corner...
2004年のクリスマス、イアン・カーター(キウェテル・イジョフォー)とスージー(ソフィ・オコネドー)は6歳の娘マーサを連れて、ジェームス・ピーボディと妻のキムは2人の息子ジョンとアダム連れた、2組のイギリス人家族がタイのプーケットにあるホテルに到着した。次の日、スージーは1人で、ジェームスとジョンが寝坊した為にキムとアダムの2人でダイビングのボートに乗り込んだ。ボートが岸に戻って来ると、ホテルも街も変わり果てた姿になっていた...
説明では2組だけになってしまいましたが、実際にはジャーナリストや現地のタイ人、そして政府関係者と、様々な人間模様が見れます。誰の記憶にも残っているアジアを襲った津波の被害。体験者の証言に脚本は書かれていますが、この映画の物語自体はフィクション。それでも、多くの人の人間模様を見ている内に、あの災害の壮絶さを物語っています。特に見ごたえがあるのが、イアンとスージーのカップル。実際に津波に襲われたイアンと、津波を見ていないスージーの間に溝が生じる。でも、スージーがボランティアの女性に「ここまでされて神の存在を信じるの?」と問う。「私は神が出来ない事もある事を知ってるからよ」と答える。キリスト教観を語る2人だが、スージーはイアンにも万能である事を求めていた事を悟った場面だとも思った。スージーだけでなく、他の人も誰のせいでもないを分かってはいるのだけど、どうしても誰かに責任を押し付けたくなる。
また目に見える物は信じやすい。けれど、目に見ていない物は信じるに難しい事。神の存在もそうだけど、今のイアンとスージーには娘の死体というのも見ていない分、悲しみと絶望感が大きい。また舞台が多くが仏教徒のタイという国なので、死に対する宗教の違いも見れる。宗教を超えたドラマにしようとしていたけれど、ジャーナリストが無理に写真を取ったりと少しキリスト教観の押し付けも感じる場面はある。
津波は街の姿を変えただけでなく、それぞれの人間の物語を一瞬にして姿を変え、それぞれが待っていた楽しい出来事を全て飲み込み、悲しみだけを残していった。誰にも変える事の出来ない過去を見せ付けられただけに、絶望感を感じる。
(Reviewed >> 12/12/07:DVDにて鑑賞)