●● レビュー
"Every Little Thing Needs Love"
リリィは4歳の時に両親のケンカを目撃した。その時にリリィが起こした事故のせいで母を失った。14歳になったリリィ(ダコタ・ファニング)は父との生活に嫌気を感じていた。リリィの家で働く黒人メイドのロザリン(ジェニファー・ハドソン)が投票登録に行く時に白人に横行を受けて警官に捕まった。リリィはロザリンを救い、母の思い出の地へと一緒に向かう。
南部の情緒ある風情の中で14歳というアンバランスな年齢が大人になる瞬間。ダコタ・ファニングの無垢、クイーン・ラティファのビックママ的な包容力、ソフィー・オコネドーの抱きしめたくなるチャーミングさ等、観客の感情を溢れ出させるのにこの上ない演出をしていたと思う。しかし私にはなぜか腑に落ちない部分があった。何か救われない部分があって、それが最後まで尾を引き、やっぱりその部分が最後の最後まで上手く描かれていなかったように思えた。確かにリリィにとって父親の存在は辛いものだったと思う。4歳の時の事故が彼等を引き離してしまったのも分かる。リリィが最後の最後まで父の事を「お父さん」と呼ばずに名前で呼んでいた理由も理解は出来る。でも映画の中で父親という存在を完全に最後まで無視してしまったのは、何か心が引っかかる。そして黒人女性達が犠牲になりながらも、リリィを最後まで救う理由にも心が引っかかってしまった。黒人映画歴史家のドナルド・ボーグル氏の言う「風と共に去りぬ」等のような大きな黒人女優の腕で慰められる白人女優という「マミー」化が、やっぱり見え隠れしてしまう気がしたのだ。
はちみつのように甘い青春物語。ミス・オーガストは「どんな小さいものだって愛は必要よ」と問う。でもその愛を手に入れるのがたった一人だとしたら、何となく後味が悪い。
(Reviewed >> 5/9/09:DVDにて鑑賞)