●● レビュー
Lee Daniels puts his hearts, minds, soul and guts challengingly and beautifully
クレアリース・”プレシャス”・ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)はハーレムに住む16歳の女の子。しかし肥満気味で勉強も出来ないのでイジメにあっていた。更には実の父親との間に子供を持ち、そして実の母メアリー(モニーク)からも虐待を受けていた。そんな中、また父親からの虐待で妊娠し、事実を秘密にしていたので停学となった。代替学校として紹介されたのが「Each one, Teach One」という所だった。そこでプレシャスはブルー先生(ポーラ・パットン)と他の生徒達に出会う...
監督のリー・ダニエルズには頭が下がる思いだ。なぜなら彼は映画でいつも何かを伝えようと果敢にチャレンジしている。この映画のテーマである「虐待」や家族のあり方について、彼はいつも映画で取り上げている。それが彼の人生のテーマでもあるかのようだ。今回はその集大成にも感じる。これがある程度の論争を巻き起こる位の事は彼も予測していたと思う。しかし彼は屈しなかった。実際に経験しただろう人々の声を絶やさぬ為、そして人々に届かせる為に。彼の生々しい映像や演出はそれを観客にプレシャスの壮絶な人生を伝えている。それらのダニエルズの根性ある映像は観客の脳裏に焼きつく事となるだろう。それだけなく我々がプレシャスと結びつきをもてるような明るいシーンも監督は忘れていない。ラストも実に希望を持たせてくれて、暗い気持ちで映画館を出る事はない筈だ。
私はいつも映画に「何か」を求めてる。きっとこういう果敢に私に攻めてくる熱いメッセージを求めてるのかも。今回のリー・ダニエルズの果敢な攻めは、我々にとっても「プレシャス」なメッセージになる筈だ。
(Reviewed >> 2/20/10:劇場にて鑑賞)
●● トリビア
ハリ・ベリーがオスカーを獲得した「Monster's Ball/チョコレート」の製作に関わり有名となったリー・ダニエルズが監督の作品。女流作家サファイアが書いた論争を巻き起こした「Push」という小説が原作。
ミュージシャンのレニー・クラビッツも参加している。彼が演じた役は原作にはない。
タイトルが「Push」から「Precious」に変更(同時期にPushという作品がもう一作品あった為)。
アメリカ公開は11/06/2009から限定公開予定。その後に公開館数が増やされる予定。日本では東京国際映画祭で公開予定だったが、中止となった。が、日本では2010年のゴールデンウィークから一般劇場公開される事になった。
リー・ダニエルズはこの作品で黒人として初の全米監督協会賞にノミネートされた(ちなみに「ハートロッカー」のキャスリン・ビグローは同年女性として初ノミネート)。オスカーには黒人として2番目のノミネート(初めては「ボーイズ・ン・ザ・フッド」のジョン・シングルトン)。受賞したら黒人として初となる。
リー・ダニエルズが以前監督をした「Shadowboxer / サイレンサー (2006)」にも、今回主役のプレシャスの母を演じたモニークは出演していて、その時の役名がプレシャス。
製作者としてタイラー・ペリーとオプラ・ウィンフリーが関わっているが、彼等はこの作品がサンダンス映画祭で大賞を取って注目を集めてから参加しているので、制作そのものには実際には関わっておらず、ただ宣伝で参加している。
監督のリー・ダニエルズは41回イメージ・アワードの受賞スピーチで、この映画が製作に9年掛かった事を明かした。理由は巨漢の黒人女性が主役の映画に誰もお金を出してくれなかったと話した。
●● サウンドトラック
1. I Can See In Color - Mary J. Blige
2. He Is The Joy - Donna Allen
3. Was That All It Was - Jean Carn
4. Did You Ever See A Dream Walking - Sunny Gale
5. Come Into My House - Queen Latifah
6. Just A Closer Walk With Thee - Mahalia Jackson
7. Love Is The Message - Mfsb
8. Now That I Know Who I Am - Nona Hendryx
9. System - Labelle
10. Somethin's Comin' My Way - Grace Hightower
11. It Took A Long Time - Labelle
12. Letters - Mario Grigorov