●● レビュー
What makes people kill a man?
1948年ルイジアナの町で、釣りに出かけようとしていたジェファーソン(メキー・ファイファー)が途中で知人に会い、釣りを辞めて彼等2人と店にお酒を買いに行った。店員は、彼等がいつもつけにしているので売るのを拒んだ。するといざこざになり、両者共に銃の撃ち合いで死んだ。たまたま一緒だったジェファーソンは、白人店員殺しの罪で捕まり、無実にも関わらず、死刑を言い渡された。死刑執行までの間、ジェファーソンの名づけ親(イルマ・P・ホール)は、学校の先生をしているグラント(ドン・チードル)にジェファーソンに会いに行く事をお願いするが...
事実は小説より奇なりとは、聞きなれた台詞。この原作者アーネスト・J・ゲインズの腕に掛かると、それは逆転する。いや、この作品はフィクションであるが、あの時代の南部では無かった話ではない筈。
こういう死刑囚が更正していくというと、真っ先にショーン・ペンが主役の「デッドマン・ウォーキング」が浮かぶ。内容は殆ど一緒と言ってもいいかもしれない。でも大きく違うのが「デッドマン...」の方は、本当に罪を犯した死刑囚であって、今回のこの映画の場合は冤罪。
裁判の時には「Hog(豚)」呼ばわりをされ、ジェファーソンは心までずたずたにされた。そんなジェファーソンの姿を見た御婆ちゃんは「He is a man before dying(死ぬ前は彼も人だ)」と、グラントに希望を託す。しかし、グラントはジェファーソンに「白人が1人死んだら、黒人も1人死なないと駄目なんだ」と言い放つ。ジェファーソンの存在すら、南部では認めてもらえない。それだけの理由で死ぬ事になるのに、グラントは何を教えるのか?と憤りを感じる。当時あったであろう差別への憤りを強く感じる事になる。
また学校や家の雰囲気、元メイドと使用人だった人達の関係等、古い南部の雰囲気が出ている。御婆ちゃんを演じたイルマ・P・ホールは、南部訛りを駆使する。メキー・ファイファーは、若い分だけほんのちょっとだけ南部訛りを使う、ドン・チードルは教育者なので丁寧で正しい英語を使う。そういう違いも凝っている。
ジェファーソンは、グラントに問う。「What makes people kill a man?(何が人々を殺人にするの?)」と。人を殺した事ない人しか言えない台詞であり、逆にこれからジェファーソンを死刑する人々への言葉だと思う。台詞一つ一つが切なくなる。作家アーネスト・J・ゲインズから南部で殺された人々への頌徳文でもあり、我々へ託されたメッセージでもあるように感じた。
(Reviewed >> Unknown, 7/14/07:TV&DVDにて鑑賞)