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Cast >>Cora Lee Day (Nana Peazant), Alva Rogers (Eula Peazant), Barbarao (Yellow Mary), Trula Hoosier (Trula), Umar Abdurrahamn (Bilal Muhammad), Adisa Anderson, Tommy Redmond Hicks (Mr. Snead) ...
Director >>Julie Dash
Writer >>Julie Dash
Producer >>Julie Dash, Arthur Jafa, Steven Jones
Genre >>Drama
Country >>USA
Release (JP) >>04/ 18/ 2025

 総合ポイント 5点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>5

 レビュー
A Griot lives
サウスカロライナ州沖には孤立された小さな島々からなるシー・アイランドがある。そこには西アフリカの文化を今でも守るガラが住んでいた。1902年の事、ピーザント家女家長のナナ(コラ・リー・デイ)が一家を守っていた。しかし一家は島の貧しい生活から逃れようと、メインランドへの移住を計画し、ナナとキューバで娼婦をしていた娘だけが島に残る事になり、最後の家族の晩餐を迎えるが...

女流監督ジュリー・ダッシュの才気溢れるノスタルジックで、想像豊かな映像と物語。女性らしいファンタジーとロマンティックを感じます。それは、映像にも表れているが撮影監督のアーサー・ジャファは、男性だったりするのだ。ガラや島の風景が美しく見え、ノスタルジックを感じ、この映画が「アメリカ国立フィルム登録」されたのも、このジャファの才能に頼る所が多そうだ。
ただ女性が女性を語ると、どうしてもフェミニズムが露出しすぎてしまう時があるように感じる。その分、男性が弱く描かれてしまっていたのも残念。
また当時そのままを意識したのか、言葉も当時のものを使用していたので、分かりにくい...すなわち伝わり難い部分もある。その割には、貧しいはずの家族が綺麗な洋服を着ていたのも、映像に拘り過ぎたのかもしれない。

とは言え、人々をガラというのに興味を持たせる魅力を持っている作品である。まだ生まれぬ、しかもその島を知らない生まれていない女の子がナレーションを務め、物語を語る。という事は、しっかりと女家長のナナが守りたかった事が、守られている事を観客は知ることになり、物語のもった強さを感じる事だろう。
(Reviewed >> 7/16/07:DVDにて鑑賞)

 100本映画
"My soul will always remember what happened on these islands."

初めて観た後、必死になってガラ(Gullah)について調べたことを今でも覚えている。そうせざるを得ないという言葉が一番妥当であろう。あまりのインパクトに衝撃を受けた。今まで見たことが無かったような空想的で誌的な演出、そしてピーザント家長ナナの力強さ。全てが知りたいという欲望を駆り立てた。それから時を経て、久々に観た『海から来た娘たち』。その後あれから多くの映画作品に触れてきたし、2016年に「ビヨンセが影響を受けた作品」という尾ひれを付たが、やはり他のどれとも違う圧倒的な個性が眩しい。唯一無二の存在。本作の監督ジュリー・ダッシュが属していた「LAの反逆者たち(LAリベリオン)」については、幾度も書いてきたのでここでは割愛するので、ここやここで読んで欲しい。アメリカでは2025年に入ってから大統領が変り、時代の移ろいを感じる今日この頃。人々が命を懸けて変えてきた歴史が塗りつぶされ、そして無かったことになりつつある。そんな時期に「アメリカ黒人映画傑作選」で再上映されたのは、必然的だとさえ感じるほどのベストタイミングである。

サウスカロライナ州沖の小さな島々からなるシー・アイランド。そこには西アフリカの文化を今でも守るガラが住んでいた。1902年、シー・アイランドのイボ・ランディングでは、ピーザント家長のナナ(コラ・リー・デイ)が一家を守っていた。しかし一家は島の貧しい生活から逃れようと、メインランドへの移住を計画し、最後の家族の晩餐を迎える...

映画には色々な楽しみ方が人それぞれあると思うが、何よりも私が重要視するのが「知りたい」という欲を刺激してくれること、そして圧倒的な美しさだ。最初に書いたように、鑑賞後にとにかくガラについて調べた。それは、監督であるジュリー・ダッシュが私よりも何百倍もの時間を掛けて1975年から徹底的に調べたから、人々のそういう気持ちを引き出したのだ。それに加え、ナレーションが2人存在する。ダッシュ本人の言葉を借りれば、「これは大罪である*1 」し、「(ダッシュの母校)AFIだったら、2人のナレーションなんてありえない!*2」だ。だが彼女は「やりたいからやった。上手くいけば、大丈夫よ」とやり遂げた。そしてその通りになった。しかしもちろんハリウッドの大手からは作らせてもらえず、ダッシュは自力で本作を作り切った。そこまでして出来たのが本作なのである。

そのように2人の女性のナレーションから成り立つ本作は、女性3世代の記憶と歴史が混じり、自分たちの言葉で語り合っているのが、他とは全く違う点である。ナナのようにアフリカ回帰に基づくお守りなどの信仰と記憶、若い者たちは新しいことと北部への憧れがあり、その中間は奴隷制度の記憶に苦悩する。ガラというコミュニティ内でも決して一枚岩ではない彼らの思いを知ることになる。そこには、ガンボやカラードなどのソウルフードがあり、ガンボを見てイエロー・メアリーは「ちゃんとしたガンボを食べるのは久しぶり。サバンナで食べたことはあるけど、あれは全部の具材が入ってなかったの」と話す。シー・アイランドならば、ちゃんとしたガンボが食べられるということであり、後の彼女の決断にも繋がっている。そして料理のシーンでは協力して作っている。そうやって伝えられてきた彼らの食文化だ。そして青く染まったナナの手には、ガラはインディゴ染という伝統があることを知る。彼らの体に伝統と歴史が染み込んでいるのである。

舞台となるのは1902年。なぜ1902年なのか... アメリカ黒人の歴史の中で、大きな出来事があった年ではない。が、時代が移ろいゆく頃であった。奴隷解放宣言からリコンストラクションを経て、1896年のプレッシー対ファーガソン裁判により「分離すれど平等」の時代の頃が1902年である。興味深いことに1902年に発刊されたのがポール・ローレンス・ダンバーの『The Sport of the Gods』である。白人社会の偏見が南部から北部へと渡った黒人家族を破壊していく小説。その後20年代のハーレム・ルネッサンスにも影響を与えた黒人都市文学の先駆け。アメリカ黒人のグレートマイグレーション(大移動)は1910年代から本格的に始まるが、そのダンバーの小説のように少しずつ大都市への移動は始まっていた。ピーザント家にも起こりうるアメリカ黒人歴史の時のうつろいを感じる。

この映画の成功を物語るのは、その後に多くのガラの本やミュージアムの設立などだ。今やガラは知られざる文化ではなくなったのだ。ダッシュ監督が自力でも歴史を語ったからこそ、ガラという存在はイボ・ランディングを超え、そしてアメリカ本土さえも超え、全世界で知られる海から来た娘たちとなった。例えばトニ・モリソンの『青い眼が欲しい』やゾラ・ニール・ハーストンの『彼らの目は神を見ていた』のように、映画史に於いても欠かすことができない礎を築いた作品なのである。物語を語り美しくフィルムに残す。歴史は誰の手によっても塗りつぶされることはない。もしそのような惨劇があったとしても、私たちの魂に記憶として残り語り続けていくものなのである。

Daughters of the Dust / 自由への旅立ち (1991) 30本目 - SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー(以前書いたこちらからの改訂版)
(30本目)
(Reviewed >> 7/16/07:DVDにて鑑賞)

 トリビア
「アメリカ国立フィルム登録」に2004年に登録された作品。監督のジュリー・ダッシュは、女流インディ監督の草分け的存在。
2025年4月日本公開時&東京国際映画祭国際女性映画週間での邦題は『海から来た娘たち』。
NHK放送時邦題『自由への旅立ち』。

 受賞歴
>> National Film Preservation Board, USA
2004 National Film Registry

>> Sundance Film Festival
1991 Won Cinematography Award Dramatic : Arthur Jafa
1991 Nominated Grand Jury Prize Dramatic : Julie Dash

 関連記事
*映画秘宝 5月号にて平成ブラックムービーベスト5にて寄稿。(3/20/19)

 リンク
Not availableJP Official Site

 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt0104057/
http://en.wikipedia.org/wiki/Daughters_of_the_Dust
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=51433

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Last Modified: 2007-07-17
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